臨時急行<飯田線秘境駅号>の運行ダイヤ
(2016年4月11日)
「秘境駅」の定義は個人によって見解が異なるのかも知れませんが、「秘境駅」と言う呼称を世に定着させた牛山氏の定義によれば、概ね、周辺に人家が無く(もしくは少ない)、断崖や山に閉ざされているような駅で、運行本数が少なくてかつ駅に通じる道路も無く(あっても車が走れるような道ではない)、世間とは隔絶されている駅と言えます。他にも、鉄道遺産が残っているなどの秘境駅たる所以はありますが省略します。
臨時急行<飯田線秘境駅号>
本来は秘境駅を訪問するなら、ダイヤ通りの列車で行くのが筋でしょうが、今回邪道ではありますが、臨時列車の「急行飯田線秘境駅号」に乗り、飯田線にある秘境駅6駅を訪問しました。効率よく「秘境駅」を回ることができるメリットはありますが、反面デメリットは大きく、列車が着くと「秘境駅」に人が溢れだすことになり、とても「秘境駅」とは呼べません。効率を選択するか、「秘境駅の秘境駅たる所以」を優先するかは、皆さんの判断に委ねます。
秘境駅第3位<小和田>
佐久間ダムの建設により周辺集落が水没したために秘境駅になった<小和田>駅は秘境駅第3位の駅です。
この駅は静岡県にありますが、天竜川の対岸は愛知県、上流は長野県になり3県の境界にある駅でホームには看板もあります。
集落が水没するまでは上流の長野県側や対岸の愛知県側にも集落があり橋も架けられていましたが、今は近くの「塩沢集落」まで1時間もかかります。
往時には、駅員が切符を販売しており、待合室には珍しい引き上げ式の窓口が残っています。
駅周辺には廃屋となっている製茶工場跡があり、天竜川沿いにはオート三輪のミゼットの廃車が朽ち果てて放置されています。
また、1993年(平成5年)の皇太子殿下と雅子様のご成婚により、雅子様の旧姓「小和田(おわだ)」と駅名の「小和田(こわだ)」と読みは違いますが、字が同じと言うことで一躍有名になりました。
秘境駅第14位<中井侍>
長野県の最南端に位置する駅で切り立った斜面にある秘境駅です。
かつては切符販売をしていた有人駅ですが、周辺人口の減少により利用者が減ったために1971年(昭和46年)無人駅となりました。
ホーム眼下の傾斜地には「中井侍銘茶」の茶畑が広がっています。現在は駅周辺に2軒の人家があるだけです。
ホームに人が溢れ返っていますので、この写真だけを見ると「どこが秘境駅やねん?」と思いますよね。
秘境駅第17位<為栗>
平田ダムの建設により周辺集落が水没して人家が減少したことにより秘境駅になりました。
駅の眼前には天竜川が流れ、駅から見える吊橋(天竜橋)からは駅の全景を見ることができます。吊橋を渡れば「信濃恋し」と呼ばれる景勝地があり、車はここまでは入って来ることができます。
秘境駅第4位<田本>
前後をトンネルに挟まれ、ホーム背後はコンクリート製の壁が聳え立つ秘境駅です。
豊橋方面のトンネル脇にある急な階段を上ると、ホーム全体が見渡せる撮影スポットです。その先に人が歩けるような道らしき道はありますが、停車時間が短いために先へ進む時間がありませんでした。
また飯田方面は短いトンネルが続いており、トンネルの向こうにトンネルを見ることができます。
私個人的には、今回訪れた秘境駅の中で最も印象深い駅でした。
秘境駅第7位<金野>
天竜川によって形成された複雑な地形に阻まれたために、集落からは離れた場所に出来た秘境駅です。(他の駅も似たような立地です)
この駅には車が入ってこれる未舗装の道はありますが、人家は3Kmほど離れたところにあります。かつては、多くの人が利用したと思わせる駐輪場がありますが、今は使われている形跡はありません。
秘境駅第28位<千代>
かつては、天竜川でコンクリートの材料となる砂利を採取し、積み込みを行う貨物駅として利用されていました。現在は使用されなくなった砂利の積み込み用のトンネルがホームから見えます。この駅からトンネルを抜けると長野県内で唯一天竜川を渡る「天竜川橋梁」があります。
飯田線にある秘境駅6駅を訪問しましたが、駅以外にも見所があります。
<宇連川>
湯谷温泉駅と三河槙原駅間で飯田方面に向かう右手に見える「宇連川」は、板を敷いたようにも見えることから「板敷川」とも呼ばれています。
透明度の高い川で緩やかな流れですが、どのポイントが板敷に見えるのかは正直分かりませんでした。
<第六水窪川橋梁>
城西駅と向市場駅間にある「S字鉄橋」と呼ばれる全長400.7メートルの鉄橋で、飯田線の中で最も長い橋ですが、対岸に渡らない橋としても有名です。
ほぼほぼ対岸までは達しているのですが、確かに対岸にはランディングはしていません。
<平岡ダム湖畔>
平岡駅と為栗駅間で飯田方面に向かって左手に「平岡ダム湖」や「羽衣崎橋」と周辺の山々と織りなす景勝地が望めます。
紅葉の頃に訪問すれば絶景だと思われるような景勝地です。
<天竜川橋梁>
千代駅と天竜峡駅の間で天竜川を渡る橋梁からは、天竜川と山々の風景が楽しめます。
途中で停まる駅からでも、例えば秘境駅で言えば「為栗」駅近くに架かる吊橋からも似たような景観をゆっくり見ることは出来ます。
飯田線秘境駅号(豊橋・飯田間運行)で巡る、飯田線沿線の見所は以上です。